一度は離れた個人開発、再び始めて「カライイネ」を作ったきっかけと想い【個人開発者かつおさん】

アプリ・Webサービス

個人開発ドットコムでは、個人でサービスを開発している個人開発者に注目しインタビューを行います。

今回は、このサイトでも紹介した激辛グルメSNS「カライイネ」を開発・運営されている「かつお」さんにインタビューしました。

カライイネの紹介記事はこちら:赤いほど映える?!辛活がはかどる激辛グルメサイト『カライイネ』

個人開発のきっかけ、やりがい、役に立ったコミュニティなどについてお聞きしました。

一時は個人開発から離れたと言うかつおさん。それがなぜ個人開発を再び始めたのか?など興味深いお話をいただきました。

自己紹介

ー 自己紹介をお願いします

かつおです。30代半ばの男です。年齢を重ねるごとに、かつおですと名乗るのに恥ずかしさを感じるようになってきました。

普段はWeb系事業会社で企画やディレクター的な仕事をしています。  

今の会社は2社目です。前職はSIerでシステム開発の要件定義、設計、PM的な仕事をしていました。​

SIerのSE⇒Web系の企画と異業種への転職をしました。転職の際には個人開発でWebサービス開発をやっているという話は評価いただいたのかなと思います笑

新旧いずれの会社でもずっとシステム開発に関わってはいるのですが商用のプログラムを書いたことはありません。

なので非エンジニアな個人開発者と言ってます。

開発サービス

ー 作っているサービスの説明をお願いします

個人開発と意識し始めてから開発してリリースに至ったのは3サービスです。  

すべて2019年に開発しました。​

カライイネ

カライイネ
激辛・旨辛グルメの口コミSNS!辛い食べ物ともっと出会おう!激辛カップ麺、旨辛ラーメン、激辛やきそば、カレー

激辛グルメ好きのためのSNSです。  

ユーザー同士でおすすめの辛いものを紹介し合ったり、食品の辛さを相対評価「辛さ比較」をすることができます。

ユーザー独自に食べたものの辛いものランキングを作っていくイメージです。

ユーザーのランキング情報が蓄積されれば、サイト全体の辛いものランキングを作ることができます。

そうすれば、自分が食べたことある食品を指標に、近い辛さの食品、もうちょっと辛い食品といった辛さを軸とした商品検索ができるようになるのでは?と頑張ってます!

2019年10月リリース。開発期間は3~4か月で、運用継続中です。

セールサーチ

https://sale-search.site/

ネットショップのセール情報のキュレーションサービスです。  

ネットショップってとてもたくさんあるのですが、いつどこのショップでショッピングすればお得なのか良く分からないなぁと思って開発しました。

が、やはりセール情報が複雑でうまく整理することができておらず…リリースするもアクセス数の伸びもなく、無風状態だったので放置してしまってます。

しかし、なぜかGoolgle検索の順位が上がってきていて、日々わずかですが検索流入がある状態なのでリニューアルするのもいいかなぁと考えてたりします。​

普段はVue.js+firebaseで構築しているのですが、このサービスについては一部のクローリング処理をPythonで書いてます。  

ただ、Pythonを動かすサーバー構築ができていないので、気づいたときにローカルで動かすという運用ありきの構成になっていて、それも放置の原因になってます。

2019年5月リリースで、開発期間1か月ほどです。

平成年表

https://heisei.me/

平成の想い出を気軽に年表にして投稿できるサービスです。  

誰かが作った年表に出来事(想い出)だけ投稿することもできます!  ​

このサービスはコンセプトのウケが非常に良かったなと思ってます。友人とかに話すと「めっちゃいいやん!」としか言われまくりました。しかし、年表の投稿に至る人はほぼいない…  

年表作ってみると分かるのですが、登録が全然気軽じゃない!  

多くの方に使ってもらうとなると、気軽さが重要だなぁと感じたサービスでした。  

幸運にも似たようなメディアを運営している方から連絡をいただき、連携しながらサービスの開発・運営を続けていたのですが、平成終わり令和になり放置しています。

運営中にユーザーの投稿データ(年表データ)を全部消してしまうという事故もありました。  

サッ~と血の気が引くのを感じました。。  

少ないながらも投稿してくれていたユーザーさん1人1人に謝罪の連絡をさせていただいたのはいい想い出です。  

この失敗があったからこそ、ユーザー投稿データについては、リリース時からバックアップをしっかりとるようになりました。いい学びだったと思います。

2019年2月リリースで、初期開発1週間。追加開発・運用は3か月くらいです。

個人開発のきっかけ

ー 個人開発を始めたきっかけは何でしょうか?

たぶん今のスタイルになった1番の理由は「Firebase」と出会ったからなのかなと思います。  

Firebase | Google’s Mobile and Web App Development Platform
Discover Firebase, Google’s mobile and web app development platform that helps developers build apps and games that users will love.

もともと作るのが好きだったのですが、エンジニアリング力が低いのでバックエンドやインフラの構築ができなくて、いつも誰かと一緒にやることで何とかしていました。

特にインフラはどうしたらいいか分からない…

FirebaseはインフラとWebサービスに必要なバックエンドの機能をAPIで提供してくれるので、Webサービス構築がめちゃくちゃ手軽にすることができます!

Firebaseの存在を知り、これなら1人でもサービス作れるわ!という実感を持つことができました。そして今のスタイルに至ります。

以下はかなり長いですが、私が個人開発と出会い、今のスタイルに行き着くまでの流れです。

大学

特にやりたいことなかったので、大学では落ちぶれ気味でした。

アルバイトばかりやってたのですが、着物をネットで販売するという当時は珍しいネットショップのアルバイトに出会いました。

アルバイトの中でHTMLやFASHを触らせてもらい、Webサイト制作って楽しいなぁと感じ、個人でも開発するようになりました。  

はじめて作った個人開発サイトはHP制作者向けのFlash素材配布サイト「katsulabo」です。  

katsulaboのトップページ

2009年オープン。今もオープン中です。AdobeがFlash対応やめるとのことなので、サイトクローズしないとなと思ってます。2020年には閉鎖します。

当時はHP制作向けの素材屋さんってけっこうありました。主にWebデザイナーやってる方が仕事の合間にっていうパターンが多かったです。

学生が趣味でやってるサイトが、検索順位上がっていくというのはとても興奮しました。  

ユーザーさんからの問い合わせや利用の声なども多くいただき、役に立ててるなぁという実感もありました。

そしてこの頃が個人開発プロダクトで歴代1番儲かってました笑  

とはいっても月10000円くらいだったと思います。

就職

私は多分当時にしては珍しく、クリエイターとして生きたいと考えてたりして、Webベンチャーのインターンとか行ったりしてました。大学の先輩にも「ベンチャーで修行して、ゆくゆくは自分でサービス作ったり事業作って生きていきたい」とか話しては止められてました笑  

しかし、とある出来事で考えが変わります。

「リーマンショック」です。リーマンショックを憶えてますでしょうか?

私が就職活動をしたのはまさにリーマンショックの年でした。それまでの売り手市場が一転し就職大氷河期となったのです。大手メーカーであっても新卒採用ゼロとかそんな時代でした。

IT系には進みたいと思っていたので、WebベンチャーとSIを並行して受けてました。

ベンチャーも内定いただけたのですが、大手のSIerからも内定をいただくことができ入社を決めました。

いやぁWebベンチャー行ってれば人生変わってただろうなぁ。。

この時は趣味で個人開発続けていけばいいだろうくらいに考えてました。

SIer時代

仕事自体は楽しかったです。5年くらいで誰でも知ってるような大手企業の基幹システムの開発プロジェクトを3社担当させてもらいました。

SIerの上流工程を担当している割にはシステムに強いという強味があったのかなと思ってます。要件定義、設計とか得意だなぁと思ってました。個人開発が活きてますね笑

ただ、めちゃくちゃ忙しかったです。たぶん23時前までに会社を出ることとかほぼなかったし、土日出社も多かったし、リリース時期には徹夜とかもありました。しんどかった。

そんな働き方をしていたので個人開発は全くやらなくなったんです。

5年間くらいは全く個人開発せずSEとしてひたすら働く日々でした。この頃は何も行動していないのに、飲みに行っては「将来起業したい」とか痛いこと言ってましたね。意識高い系ってやつだったと思います笑

SIer時代の同僚との個人開発

「将来起業したい」とか口だけ人間やってたのですが、なんと同じような想いのSIerの同僚と出会います。

ちょうど2人が30歳になる年に、「このままじゃダメだ!なにか作ろう!」と決意し、個人開発(厳密には2人での開発ですが)をスタートさせました。

それで作ったサービスが「テニスベア」です。

空きレンタルテニスコートの検索・予約サイト | テニスベア
レンタルテニスコートの空きを検索して予約できます!東京都や神奈川県をはじめ、全国(都営・県営・市営・区営・民間等)の施設が対象!またイベント主催や参加も簡単にできます。写真付きのテニスコート情報や、サークル管理に便利なグループ機能まで!

同僚がテニス好きで、都内のテニスコートをネットで探して予約することに不便を感じて作ったサービスでした。この時はSIerらしくJAVAのフレームワークであるSpringBootを使ってました。久々に始めた開発で初めてのフレームワーク。めちゃくちゃ難しくて開発スピード出なかったです。

ある日、テニスベアは「東京 テニスコート」「テニスコート 予約」とかの検索キーワードで検索上位(1位とか)をとれるようになり、安定したアクセスをとれるようになりました。嬉しかったし、楽しかったですね。

ただ、テニスベアは同僚のアイディアベースのサービスだったので、私は抜けさせてもらいました。テニスベアはコートのキュレーションだけでなく、イベントの募集や私営コート向けの予約管理サービスなどテニスを軸とした成長を続けています。もうすぐ法人となりそうでとても楽しみです。​

Webベンチャーへの転職とビジコン参加

やはりWebサービス楽しいなぁと思いを新たに、もっとWebサービスに関するノウハウ得たいなぁと感じWebベンチャーへ転職しました。

年収はけっこう下がってしまったのですが、Webベンチャーで認められたり、自分の事業が立ち上げられればSI時代の年収なんて超えれるだろうと甘い考えでとりあえず転職した感じです。

そこからはWebサービスの企画や運用を頑張ったり、自分でもビジコンに出たりをひたすらやってました。ただビジコンでは全然芽が出なかった。

色んな人からビジネスプランに対して、色々言われるわけですが、その過程で自分のプランに自信を無くしてしまうとかが多かったです。なんか、このやり方自分に向いてなくないか?と感じるようになりました。

ビジコンでプラン評価されてから作り始めるよりも、さっさと作ってからモノをぶつけて評価してもらった方がいいのではないか?

Firebaseと出会い、今のスタイルに

さっさとモノを作りたいという想いはあったのですが、実現する力が私にはなかった。プロト開発などでフロントの開発はできるが、バックエンドとインフラ構築ができない。

その問題を解決してくれたのがFirebaseでした。

Firebaseがあれば自分でもそこそこのサービスなら作ることができる。

そして現在のひたすら自分で考えたWebサービスを作ってはリリースするというスタイルになりました。

開発技術とプログラミング学習の方法について

ー どのように開発していますか?また、プログラミングを学んだ方法は?

最近作ったサービスは全てVue.js+firebaseで構築しています。

Firebase | Google’s Mobile and Web App Development Platform
Discover Firebase, Google’s mobile and web app development platform that helps developers build apps and games that users will love.

両方とも、技術が詳しい友人が教えてくれたから使い始めました。

Vue.jsの学習法

Vue.js - The Progressive JavaScript Framework | Vue.js
Vue.js - The Progressive JavaScript Framework

Udemyで1本動画教材を購入して、勉強しました。

動画の中で出てくるサンプルを一通り写経してローカルで動かすとこまでやりました。

Udemyは初心者でも分かり易いのでおススメです。

最近もNuxt.jsの動画教材を購入して一通りやったところです。

firebaseの学習法

こちらは公式ドキュメントとQiitaの記事を必要に応じて見つつ組み込む感じで、体系だった学習はやってません。

Vue.js+firebaseの組合せで説明してくれているQiita記事はかなりあったので、やりたいことベースで検索して、ヒットしたドキュメント関連をざっと読み、実際に組み込みながら試すという流れでした。

サービス開発のやりがい等について

ー 運営サービス「カライイネ」でのやりがいや楽しい点、苦労している点を教えてください。また、集客方法や上手くいった施策などサービスを運営しているからわかる気付きなどがあればお願いします

やりがい・楽しい点

ユーザーさんから反応があることがとにかく嬉しいです。

カライイネへの投稿、SNS上でのコメントなどなど何でも嬉しい。とくにカライイネへの投稿があると本気で喜んでいます。

苦労している点

集客は苦労しています。

ネット広告を出すとかの予算はないので、今はSNSで集客頑張ってる感じなのですが、ユーザー数が上手く増えるようなSNS上での集客方法は今のところ見つかっていません。

SEOもうまくいってないように思ってます。

辛い食品DBの側面もあるサービスなので、検索流入を狙っていきたいのですが、辛い食品はブログ記事とかも豊富で、順位がとれてないです。

検索順位が上がってくれば集客も安定してくるのになぁと思ってます。

学習や開発に役立った本・動画・サービスなど

ー サービス開発で役に立った本・動画・サービスなどがあれば教えてください

運営者ギルド

https://qiita.com/organizations/admin-guild

技術系のお悩み相談、集客などの運用のお悩み相談、バグ出しの協力、精神面のフォローまで何でもござれなコミュニティです。

運営者ギルドの皆さまからは本当に多くのアドバイスや励ましのお言葉などいただきました。

ギルドに出会ってなければカライイネはリリース出来てなかったと思います。

3monthsServies

3monthsService
3monthsService

オフラインイベントです。3か月でサービスつくってリリースしようというイベントで、お尻を叩いていただきました。また参加メンバは各々作ってるサービスがあるので、とても刺激を受けてました。

カライイネのSNSアカウントの画像を描いてくださった、なつさんともこの会で出会いました。

Udemy

Udemy

Vue.jsの学習に利用しました。​

個人開発の魅力とは

ー かつおさんの思う個人開発の魅力について教えてください

アイディアを形にして世に出すことができますし、基本的には誰の指図を受けず自分自信の判断だけで進めることができることだと思います。

スタートアップとかだと何をつくるのか?ビジョンは?事業のPVは?とか色々考えて、協力者に賛同してもらえないとプロジェクトを進めることができません。

個人開発のサービスの場合であれば、そういう検討している間にプロダクトリリースできていると思います。規模が全然違ったり、失敗する可能性はデカくはなりますが笑

今後の展望

ー 今後の展望について教えてください

カライイネの改善を続けます。まだまだ作れていない部分は多いです。

機能面だと、まずは食品の辛さランキングを作るとこかなと考えています。

今の機能をベースに順調に成長することができれば、次のステップに進みたいです。

具体的には…秘密です笑。ただ辛いもの好きな方がとても楽しめるような企画を実現していきたいと思っています。

カライイネ以外にもなんらか開発はしたいと思ってます。

カライイネの運用関連で中々苦労していたりするので、その辺を楽にするツールの開発とかやれないかなぁと漠然と考えています。

技術面においては、機械学習を組み合わせたサービスを作れるようになりたいなと思ってます。

今まで逃げてきたバックエンド開発とインフラの勉強したいなと思ってます。Pythonやらなきゃ…

その他、伝えたいことなど

プライドを捨ててリリースしてください。

個人開発のプロダクトって、アイディア考えたときはイケイケなのですが、開発を進めていくと「こんなサービス誰が使うんだろうか?」など自信がなくなっていき、結局リリースできずにプロジェクト終了するみたいなこと多いと思います。

しかし、サービスが飽和している現代ではサービスを作ってリリースしても使われないことは非常に多いです。普通です。

サービスをリリースして使われなくても学ぶことは多いので、あなたの糧になります。また周囲の方々は思ったよりもあなたのことを気にしていないので、リリースしてスベッても特になにも思わないと思います。​

なので失敗したら恥ずかしいとかのプライドは無価値です。

プライドを捨ててリリースしていくことで開発者としての経験を積んでいくことが成功につながると信じています。

個人開発は自分のアイディアを自分の力で実現し世に出していき、反応を得られる。とてもワクワクします。時間をかけて取り組む価値はとてもあることだと思います。面白いプロダクトを作り、世に出していきましょう!!わたしも頑張ります!!

ー ありがとうございました!

開発者情報

Twitterアカウント:https://twitter.com/katsuo_s7

運営サービス:カライイネ

カライイネ公式Twitterアカウント:https://twitter.com/karaiine_jp

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